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2014年7月31日 (木)

「九州玄海原発訴訟」第10回裁判 意見陳述 -NO2-

 「九州玄海原発訴訟」第10回裁判 意見陳述書

 後藤文治 -NO2-

第3 友人との交流が断たれたこと          (前回)

 私は48年間福島に住み、多くの友と出会いました。
私は釣りが大好きで、月に3~4回、友人と渓流釣りや海釣りに出かけていました。
息子が小さな頃は息子も連れて行きました。
相馬の海に行き、カレイやアナゴを釣り、家から30分ほどのところにあるきれいな渓流でヤマメやイワナ釣りを楽しみました。
渓流釣りは、「朝駆け」といってよく釣れる夜明け頃が勝負です。
私は友人と夜明け前から出かけ、午前中の釣りを楽しみ、午後は山を下りながら四季折々の山菜を摘み、家に戻ってから釣った魚や山菜を調理し、それをつまみに酒を飲みました。
気の置けない友人と夜遅くまで釣りの自慢話や政治談義に花を咲かせ、怒ったり笑ったりして過ごす時間が本当に好きでした。

 私には30年来の釣り仲間で米農家の友人がいます。
私は彼の作る米が美味いので、毎年毎年買って食べていました。
私は彼の米をもっと美味しく食べるために10キロずつにわけて精米し、精米したばかりの米を炊くようにしていました。
 しかし、震災後、私は米への放射能汚染があることを知り、彼から米を買うことができなくなりました。
私が彼に「もう米は買えねえんだ、すまねえ」と言うと、彼は私を責めることもせず、ただ苦笑いしながら「そうだよな。仕方ねえな」と言いました。
私はその時の申し訳ない気持ちと彼の苦笑いした表情を忘れることができません。

 その後、彼とも多くの釣り仲間とも渓流釣りや相馬の海に行くこともなくなりました。
決してケンカしたわけでも仲が悪くなったわけでもありません。
ときどき会えば笑って話をするし、お互いのことを気にかけています。
しかし、何か言い出せない、切り出してはいけない話題があるような気がして、酒を飲みながら釣りの話に花を咲かせていた頃のような楽しさを感じることがなくなりました。
自分たちが望んだわけでもないのに、友人との関係が少しずつ冷えていくような、消えていくような気がしました。

第4 収穫物を通した友人との交流が失われたこと

 私は、家から5分の所に畑を借り、野菜を作っていました。
農家の方が手取り足取り教えてくれて、すくすくと育つ野菜を見ていると、妻や娘に食べさせてやろう、福岡の息子に送ってやろうと家族のことを思い起こすのです。
ようやく収穫の時を迎え、獲れたばかりのキュウリのみずみずしさは格別です。
ホウレンソウは何もつけずにその甘みだけで美味しく食べられます。
スーパーで買う野菜とは全然違うのです。
 できた野菜は友人たちにもおすそわけします。
「うまいのできたからな、食べてみてくれ」と野菜を渡すと、友人からは「これ、うちで作ったやつだ。もってけ」といってちがう野菜を渡されます。
たわいもないやりとりですが、お互いの成績を認め合うような気持ちがして、今思えばすがすがしいやり取りでした。

 しかし、原発事故後、農作物への放射能汚染があることから私は畑に行くことを止めました。
しかし、野菜作りを続ける友人は「線量を測ってもらった。大丈夫だから・・・」と申し訳なさそうに野菜をくれるのです。
私は「ありがとう」と言って受け取りますが、汚染が心配で、どうしても食べられず、悪いなぁと思いながらもらった野菜を捨ててしまったことがありました。
以前のようなすがすがしいやり取りが友人への後ろめたさや罪悪感に変わってしまいました。

第5 孫に福島を見せたかったこと

 妻と長女と私は、長年住み慣れた福島の家を離れ、今年の3月、息子夫婦と孫が住む福岡に来ました。
福岡に来た当初、公園で遊ぶ楽しそうな子どもの声が聞こえたとき、私は驚きました。
私は事故後の福島で、外で遊ぶ元気な子どもの声をずっと聞いていなかったのです。

 私の孫はもうすぐ2歳になります。
その孫は福島に来たことはありません。
あの事故がなければ、私は孫に「うつくしま」と呼ばれる福島の豊かな自然を見せたかった。
私がかつて息子と行ったように、孫と一緒に山に行き、ヤマメを釣りたかった。
相馬の海を見せたかった。
そして、私たちが福島で食べている同じものを、私が作った野菜を孫にも食べてもらいたかった。
おじいちゃんやおばあちゃんが福島でどんな生活をしているのか、孫にも味わってほしかったのです。
(次回に続く)

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